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合同会社の代表社員の選任と登記

合同会社の代表社員に関する登記でお悩みではございませんか

株式会社においては、取締役が何名かいる場合でも、その中から株式会社を代表する代表取締役を1名または多くても2名程度選任することが一般的です。
これは、会社を代表する代表者の人数が多いとガバナンスが保てなくなり混乱が生じてしまう恐れが多いからになります。

合同会社においても、社員の中から1名または多くても2名程度の合同会社を代表する代表社員を選任することが一般的です。
そして、株式会社の代表取締役のように合同会社の代表社員を選任するには、いくつかの方法があります。

具体的には、定款に直接定める、または定款に定める互選、といった方法が取れますので、合同会社における代表社員に関する取り扱いは、取締役会を設置していない株式会社と似ています。

合同会社においては業務執行社員と代表社員に関する事項が登記事項となりますので、代表社員を新たに選任した場合などはそれに関する登記が必要となりますが、どのような方法で選任したかによって、登記手続きに必要な添付書面も変わります。

今回は、合同会社の代表社員の選任とその登記について記載いたします。

合同会社の代表社員の選定方法

合同会社では、定款で代表社員について何も定めていなければ、業務執行社員が各自合同会社を代表します(会社法599条1項、2項)。

取締役会を設置していない株式会社において、何も定めなければ取締役が各自株式会社を代表するという状態と同じです。

そして、業務執行社員の中から特定の代表社員を選任する方法としては、定款に直接定める、または定款の定めに基づき業務執行社員による互選を行う、という方法が認められています(会社法599条1項、2項、3項)。

実際には、定款に直接代表社員を定める方法が多いです。

※なお、業務執行社員に関しても定款に何も定めていないと、各社員が業務執行社員となります(会社法590条1項)。
そのため、定款に業務執行社員、代表社員のいずれについても何も定めていない場合には、
全ての社員が業務執行社員で代表社員という状態になります。

各自業務執行社員が合同会社を代表する場合の登記

代表社員について定款に何も定めていないため、各自業務執行社員が会社を代表する合同会社に新たに業務執行社員が加入した場合には、業務執行社員の加入に関する添付書面の他には、特に添付書面は不要であるとされています。
これは、業務執行社員が各自代表する状態が原則的な状態と位置付けられているためになります。

定款で業務執行社員の中から代表社員を定めた場合の登記

定款で業務執行社員の中から代表社員を定めた場合には、定款変更に関する総社員の同意書が添付書面となります。
※定款変更の方法について、定款で別段の定めをしている場合にはその定めに従うことになります。

定款の定めに基づく業務執行社員の互選によって代表社員を定めた場合の登記

定款の定めに基づく業務執行社員の互選によって代表社員を定めた場合には、定款、業務執行社員の互選書、就任承諾書が添付書面となります。

定款の定めに基づく業務執行社員の互選による場合にだけ就任承諾書が必要となる点も、取締役会を設置しない株式会社と似ています。

※定款に直接代表社員を定める方法の場合には、その定款変更への同意をしたことで就任を承諾していると考えられるため、別途の就任承諾書は不要とされています。

代表社員となった業務執行社員が法人の場合

代表社員となった業務執行社員が法人の場合には注意が必要です。
その代表社員となった法人の職務執行者についても登記事項となるからです。
職務執行者に関する添付書面も必要となります。

具体的には、次のような書面を添付します。

・職務執行者を選任したことを証する書面
※職務執行者は、業務執行社員となった法人の業務決定機関で選任するべきものとされていますので、例えば取締役会議事録や取締役の決定書などを添付することになります。

・職務執行者の就任承諾書
※就任承諾書の宛名は、登記の対象となる合同会社ではなく、代表社員となる法人を意思表示の相手方にするものとされています。

また、職務執行者は代表社員とならないと登記事項にはならないですが、業務執行社員となった時点で選任は行う義務が生じます。

そのため、既に業務執行社員である法人が代表社員となる場合には、過去に職務執行者を選任した際の議事録などや就任承諾書を添付書面とする必要がありますので注意が必要です。

合同会社の代表社員の選任は取締役会を設置していない株式会社に近い

合同会社における代表社員の選任の手続きは、取締役会を設置していない株式会社と近い部分が多いです。
ただし、株主総会による直接選定に対応する方法は存在しないなどの違いもあります。
また、法人が代表社員となる場合の職務執行者に関する手続きや、定款変更方法に定款自治が許容されているなど、合同会社に固有のポイントもありますので注意が必要です。
ご参考にしていただけますと幸いです。

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