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清算株式会社における登記

清算株式会社に関する登記についてお悩みではございませんか

株式会社が株主総会の特別決議などの事由によって解散して通常の清算手続きに入った場合には、その株式会社は清算株式会社となります。
清算株式会社においては、機関設計や組織再編などについて解散前とは規定が異なります。
そのため、解散登記を申請すると一定の登記事項が職権で抹消されるといった取り扱いもあります。

また、解散と最初の清算人就任の登記から、特に他の登記を行うことなくそのまま清算結了登記まで行うケースが多いですが、清算手続きに必要であれば本店移転などを行い、登記を行うことも可能であるとされています。

今回は、清算株式会社に関する解散前と異なる規定とそれに伴う登記のポイントについて記載いたします。

清算株式会社では機関設計のルールが異なる

清算株式会社では、解散前の通常の株式会社と機関設計のルールが異なります。
まず、取締役は設置されなくなり、清算人が設置されることになります。
このように清算株式会社で必ず設置される機関は、株主総会と清算人になります。

解散前の通常の株式会社では定款に定めることによって設置できる機関のうち、清算株式会社では、会計参与、会計監査人、監査等委員会および指名委員会等を置くことはできないとされています。

そのため清算株式会社がとることができる機関設計は次のパターンになります(会社法477条)。

・清算人
・清算人+清算人会
・清算人+監査役
・清算人+清算人会+監査役
・清算人+清算人会+監査役+監査役会

※解散の時点(清算の開始時)に、公開会社または大会社であった清算会社は、監査役を置かなければならないとされています(会社法477条4項)。

これに対して清算人会を設置しても、必ずしも監査役を設置しなければいけないわけではありません。
また、解散の時点(清算の開始時)で取締役会を設置していても、清算人会を設置しなければいけないわけではありません。

※監査役会を設置している場合には、清算人会を設置しなければならないとされています(会社法477条3項)。

解散登記をすると取締役などの設置されない機関の登記は職権で抹消される

株主総会の決議などによって解散した場合には、解散の登記と最初の清算人の登記を申請することになります。

この解散登記が申請されると、取締役などの清算株式会社には設置できない機関に関する登記は、法務局の職権で抹消されます(商業登記規則72条)。

そのため、取締役の退任や取締役会の廃止といった登記を申請する必要はありません。

解散登記が申請されると抹消される機関に関する登記は次の事項になります。
・取締役に関する登記
・代表取締役に関する登記
・社外取締役に関する登記
・取締役会設置会社である旨の登記
・特別取締役による議決の定めの登記
・特別取締役に関する登記
・会計参与設置会社である旨の登記
・会計参与に関する登記
・会計監査人設置会社である旨の登記
・会計監査人に関する登記
・監査等委員会設置会社である旨の登記
・監査等委員である取締役に関する登記
・重要な業務執行の決定の取締役への委任の定款の定めがある旨の登記
・指名委員会等設置会社である旨の登記
・執行役に関する登記
・代表執行役に関する登記

このように、清算株式会社では設置できない機関に関する登記は、解散登記が申請されると職権で抹消されます。

監査役および監査役会については、清算株式会社でも設置することができるので、解散登記を申請しても職権では抹消されません。

株式会社が解散すると支配人の代理権も消滅するものとして取り扱われている

登記実務上は、解散の時に支配人がいる場合には、その支配人の代理権は消滅するものとして取り扱われています。

そのため、解散の登記を申請すると、支配人の登記が抹消されることになります(商業登記規則59条)。

なお、解散の時に一旦退任した支配人を、清算の目的の範囲内において再度選任しその登記を行うことは可能です。

清算株式会社が行うことができない組織再編行為がある

清算株式会社は、清算事務処理が目的ですので、組織再編行為にも制限があります。
次の組織再編行為を行うことはできないとされ、それによる登記を申請することもできません。

・清算株式会社が存続会社となる合併(会社法474条1号)
・清算株式会社が承継会社となる吸収分割(会社法474条2号)
・株式交換、株式移転および株式交付(会社法509条1項3号)

清算株式会社が消滅会社となる合併や、清算株式会社が分割会社となる(分割型ではない)吸収分割は行うことができます。

清算株式会社の登記事項の変更

清算株式会社においても、清算の目的の範囲内であれば定款変更や本店移転は可能であるとされており、その変更登記も行うことができます。

※商号変更については、清算株式会社においては商号権が失われ、その変更登記ができないとする見解もありますが、清算株式会社について商号に関する規定の適用を排除する取り扱いは疑問視されており、登記実務上も商号変更登記の申請は受理されています。

清算の目的の範囲内であれば、募集株式の発行や募集新株予約権の発行も可能であるとされ、その登記申請も受理されます。

清算株式会社においては解散前とは異なる点に注意が必要

清算株式会社においては、解散前とは異なる規定が適用される点があり、登記上の取り扱いもことなります。
清算株式会社において登記事項の変更などが必要な場合には、解散前と異なる取り扱いではないか、よくご確認ください。
ご参考にしていただけますと幸いです。

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