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株式会社の定款の絶対的記載事項、相対的記載事項、任意的記載事項

定款の記載事項についてお悩みではございませんか

株式会社を設立する場合には、定款を作成することがスタートラインです。
定款には様々な事項を記載しますが、その記載事項は絶対的記載事項、相対的記載事項、任意的記載事項の3種類に分類することができます。

それぞれ、絶対的記載事項、相対的記載事項、任意的記載事項の意味は次のとおりです。

絶対的記載事項とは、その事項が記載されていないと定款の全体が無効になる必ず記載が必要になる事項です。

相対的記載事項とは、その事項が記載されていなくとも定款自体が無効になるわけではないが、定款に記載しないとその事項の効力が生じない事項です。

任意的記載事項とは、その事項が記載されていなくとも定款自体が無効になるわけではなく、定款に記載しなくともその事項の効力を生じないという訳ではないが、取り扱いを明確にするといった理由により任意に定款に記載される事項です。

今回は、定款の絶対的記載事項について記載していきます。

株式会社の定款の絶対的記載事項

株式会社の定款の絶対的記載事項は次のとおりです(会社法27条、会社法37条1項)。

・会社の事業目的
・会社の商号
・会社の本店所在地
・会社の設立に際して出資される財産の価額またはその最低額
・発起人の氏名または名称および住所
・発行可能株式総数

このうち、「会社の設立に際して出資される財産の価額またはその最低額」と「発起人の氏名または名称および住所」については、会社設立の際にだけ必要となり、その後に削除したとしても定款の効力に影響はありません。

本店の所在地については、定款には最小行政区画である市町村(東京都の特別区を含み、政令指定都市にあっては市)まで表示すればよいとされており、何丁目何番何号といった細かい住所まで表示する必要はないとされています。
ほとんどの会社において、「当会社は、本店を東京都品川区に置く。」といった最小行政区画までの記載がされています。

発行可能株式総数は、公証人の認証を受ける原始定款には定めずに、発起人全員の同意をもって会社成立の時までに定めることも可能とされています。

株式会社の定款の相対的記載事項

株式会社の定款の相対的記載事項はとても多いですが、一般的な定款によく記載されている代表的なものは次のようなものになります。

・公告方法
・取締役会や監査役の設置など機関設計に関する定め
・基準日の定め
・株主総会の決議方法(定足数の軽減など)
・取締役の任期の短縮または伸長
・取締役選任の累積投票の排除
・取締役会の決議の省略
など

公告方法については、必ず登記することになりますが、定款の絶対的記載事項ではなく相対的記載事項とされています。
定款に何も定めなかった場合には、公告方法は官報となります。
日刊新聞紙または電子公告を採用する場合には、定款に定める必要がありますが、実際には官報で公告する場合でも定款に定めることがほとんどです。

株式会社は定款に定めることによって、取締役会、監査役、監査役会、会計参与、会計監査人、監査等委員会または指名委員会等といった機関を設置することができます。
機関の設置については、「当会社は、取締役会及び監査役を置く。」といったように一つの条項で設置する機関を纏めて規定している例が多いです。

基準日の設定については、定款に定めなくとも取締役会決議および公告によって行うこともできるとされています。この意味では任意的記載事項ともいえます。
実際には、その都度公告することは手間と費用がかかり、定款に定めている例が多い。
定時株主総会における議決権を行使する株主、剰余金の配当を受ける株主について、それぞれ基準日が定められていることが多いです。

株主総会の決議については、定款で定めることで定足数を軽減するなどの決議要件の変更ができます。
一般的には、株主総会普通決議の定足数を完全に排除している例が多いです。
特別決議の決議要件など加重が認められているものもありますが、加重している例はあまりありません。

取締役の任期は、原則として「選任後2年以内に終了する最終の事業年度に関する定時株主総会終結の時まで」とされています。
非公開会社においては、定款に定めることで最大で「選任後10年以内に終了する最終の事業年度に関する定時株主総会終結の時まで」伸長することができますので、家族会社など閉鎖的な会社では任期を最大まで伸長している例が多いです。
逆に、外部株主の多い会社などにおいては、毎年役員の改選の機会が得られるように「選任後1年以内に終了する最終の事業年度に関する定時株主総会終結の時まで」に短縮している会社も多いです。
また、取締役については補欠増員規定や累積投票の排除について定められていることも一般的です。

取締役会では、定款に定めないと決議の省略をすることができないため、取締役会設置会社においては、決議の省略について定めていることが多いです。

株式会社の定款の任意的記載事項

任意的記載事項は、必ずしも定款に定めなくともよい事項ですが、その代表的な例である事業年度については、ほとんどの会社が定款に規定しています。
その他には、株式の取扱規則について一定の事項を定款に記載している例も多くあります。

株式会社の定款については記載事項の性質をよく確認ください

定款の記載事項には、絶対的記載事項、相対的記載事項、任意的記載事項の3種類があります。
定款を作成する際や規定を見直していただく際には、その記載事項が定款全体の効力に影響を及ぼすものなのか(絶対的記載事項)、定款に記載がないと効力が生じないものなのか(相対的記載事項)、必ずしも定款に記載しなくてよいものなのか(任意的記載事項)なのかによって記載すべきかどうかの検討の重要性も変わりますので、その性質をよくご確認ください。
ご参考にしていただけますと幸いです。

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