社外取締役や社外監査役の登記についてお困りではございませんか
社外取締役や社外監査役は、一部の機関設計の会社では一定の員数を置くことが会社法上必要ですし、会社法令上義務ではなくとも近年コーポレートガバナンスの観点から社外取締役を置くことが推奨されていたりします。
このような流れを受けて社外取締役や社外監査役を導入される例は増えてきていますが、社外取締役、社外監査役である旨の登記は、会社の機関設計や定款規定によって、登記事項として登記しなければならない場合と登記事項ではなく登記しない場合がありますので、よくご確認いただく必要がございます。
今回は、社外取締役や社外監査役の登記について記載いたします。
会社法によって社外取締役が必要とされている場合
会社法令上、社外取締役の設置が必要となる場合が定められています。
社外取締役の設置が必要となるのは次のような場合です。
公開会社で大会社である監査役会設置会社の上場企業は、社外取締役を置かなければならないとされています(会社法327条の2)。
特別取締役による議決の定めを設けるには、取締役が6名以上でそのうち1名以上が社外取締役である必要があるとされています(会社法373条1項)。
※特別取締役による議決の定めとは、取締役6名以上から、あらかじめ3名以上を選定し、重要な財産の処分や譲受け、多額の借財について決定する取締役会について、その3名以上の取締役の過半数の出席があれば取締役会が成立するという制度です。
監査等委員会設置会社においては、監査等委員である取締役(員数3名以上)の過半数は、社外取締役である必要があるとされています(会社法331条)。
指名委員会等設置会社においては、各委員会の委員(それぞれ員数は委員3名以上)の過半数は、社外取締役である必要があるとされています(会社法400条3項)。
社外取締役である旨が登記事項となる場合は限られている
社外取締役を選任して置いた場合でも、常に社外取締役である旨が登記事項になるわけではありません。
そのため、社外取締役である旨が登記事項とならないケースでは、任意に社外取締役を選任してもその旨を登記することはできません。
社外取締役である旨が登記事項となるのは、特別取締役による議決の定めがある場合、監査等委員会設置会社である場合、指名委員会等設置会社である場合だけになります(会社法911条3項21号から23号)。
※会社法上、社外取締役の設置が必要となる、公開会社で大会社である監査役会設置会社の上場企業の場合も、社外取締役である旨は登記事項となりません。
以前は、責任限定契約の締結は社外取締役や社外監査役との間で締結できるとされており、責任限定契約に関する定款の定めがある場合には、社外取締役または社外監査役である旨が登記事項とされていました。
平成26年の会社法改正により、責任限定契約の締結の相手方が非業務執行取締役等に改められ、責任限定契約に関する定款の定めがある場合でも社外取締役または社外監査役である旨は登記事項ではなくなりました。
これによって、社外取締役である旨を登記する場合は、上記のとおり、かなり限定的なケースとなりました。
会社法によって社外監査役が必要とされている場合
監査役会設置会社においては、監査役3名以上を置き、その半数以上が社外監査役である必要があるとされています(会社法335条3項)。
※過半数ではなく、半数以上とされています。
そのため、監査役3名の場合は2名以上が社外取締役である必要がありますが、監査役4名の場合も社外監査役は2名以上必要となります。
また、監査役会設置会社においては、監査役の中から常勤監査役を定めなければならないとされていますが、社外監査役を常勤監査役に定めていただくことも可能です。
そのため、監査役会設置会社において監査役3名全員社外監査役の登記をすることも可能です。
社外監査役である旨が登記事項である場合も限られている
社外監査役である旨が登記事項となるのは、監査役会設置会社である場合のみになります。
そのため、監査役会を設置していない会社では、社外監査役を任意に選任しても、社外監査役である旨を登記できないのは、社外取締役の場合と同じです。
登記実務上は社外性についての添付書面は求められていない
社外取締役や社外監査役の、社外であること(社外性)については、登記実務上それを証明するための添付書面は必要ないとされています。
実際には誰が社外取締役、社外監査役なのかを明確にする必要もあるため、選任頂いた株主総会議事録に社外取締役、社外監査役として選任する旨を明記していただくことをオススメしております。
社外取締役や社外監査役の登記については登記事項となるかどうかをご確認ください
社外取締役や社外監査役については、選任しても社外取締役や社外監査役である旨が登記事項にはならない場合も多いです。
社外取締役や社外監査役の登記については、どのような場合に登記事項となるのかについてよくご確認ください。
ご参考にしていただけますと幸いです。