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新設分割の分割対価を分割会社の株主に取得させる分割型新設分割

新設分割の対価を分割会社の株主に取得させることをご検討ではございませんか

新設分割を行う場合、その対価となる新設分割会社の株式は、原則として分割会社に交付されます。これを、分社型新設分割といいます。

一方、一旦分割会社に交付した対価を直ちに分割会社の株主に取得させる内容の新設分割計画をすることも可能です。これを分割型新設分割といいます。
分割型の新設分割の場合、手続きとして債権者保護手続きが必須となるなど、分社型の新設分割にはない注意点があります。

今回は、このような分割会社の株主に対して分割対価を取得させる、分割型の新設分割について記載します。

(株式会社が分割会社となって、株式会社を設立する新設分割の前提で記載します。)

 

 

分割型の新設分割では債権者保護手続きの省略ができない

分社型の新設分割の場合、新設分割に対して新設される会社に承継される債務のすべてを分割会社が重畳的債務引受するなどの方法で、債権者保護手続きを省略することが可能です。

 

一方、分割型の新設分割では、たとえ承継債務のすべてを重畳的債務引受けたとしても、債権者保護手続きを省略することはできません。

 

※分社型新設分割の場合は、分割対価として新設会社の株式が全て分割会社に交付されるため、分割会社の財産状況を見たときに新設会社の株式に資産の形が変わっただけで、分割会社全体の財産は減少していないと評価できるのに対して、分割型新設分割の場合、新設会社から交付された株式が最終的に分割会社の株主に交付されるため、分割会社全体の財産が減少したと評価されるためになります。

 

分割会社の貸借対照表をあたかも2つに分割したような例外的な会計処理が認められる

分割型新設分割の場合には、分割会社の貸借対照表をあたかも2つに分割したような例外的な会計処理が認められます。

(分割型の単独新設分割で、対価の全部が新設会社の株式であることが要件となります。)

通常、新設分割の場合(共同新設分割の場合を除く)分割会社から承継される資産・負債を基礎として算定される株主資本等変動額は、分割計画書の定めに従い、新設会社の資本金、資本準備金、その他資本剰余金にそれぞれ計上され、いきなり利益剰余金には計上されません(会社計算規則49条)。
※債務超過の事業を承継させた場合、利益剰余金がマイナスとなり、資本金の額は0円となります。

承継される事業に関する権利義務を分割会社から出資されるものと考えて、資本金、資本準備金、その他資本剰余金に計上し、利益剰余金は0からスタートするということです。

一方、分割型新設分割の場合においては、あたかも分割会社の貸借対照表を2つに分割したような例外的な会計処理も可能です(会社計算規則50条)。

この会計処理は、あたかも貸借対照表を2つに分割したように、分割型新設分割によって分割した事業に対応する分割会社の資本金の額・資本剰余金の額・利益剰余金の額をそのまま新設会社に計上される資本金の額・資本剰余金の額・利益剰余金の額として計上できるというものです。

そのため、新設会社に計上された額について、分割会社の資本金の額などが減少することになりますが、これには別途減資の手続きをする必要があります。

※分割会社において減少する資本金の額と新設会社に計上される資本金の額は一致している必要があります。

会社計算規則49条に従う会計処理と、会社計算規則50条に定める例外的な会計処理は、選択的にどちらを採用することも可能です。
※選択的にどちらを選ぶことも出来るので、分割型新設分割に際して常に減資の手続が必要になるわけではありません。

 

新設分割対価の分割会社株主への交付の方法

分割型新設分割の場合に、新設分割対価の分割会社株主への交付の方法として全部取得条項付き種類株式を利用する方法と、剰余金の配当を利用する方法の2つがあります。

この際に、分割会社の株主構成によっては交付する新設会社の株式に端数が生じる可能性があるため注意が必要です。

基本的には端数が生じないように事前に株式分割、株式併合、株式譲渡を行う等の調整することが望ましいと考えます。

どうしても端数が生じる場合には、剰余金の配当(現物配当)の方法を採用するのであれば、一定未満の数の株式を有する株主に対しては分配しない旨の会社法第456条による基準株式数を設定する方法で処理することが考えられます。
この場合、一定未満の株式しか有さない株主には基準株式数に対する割合を乗じて得た額に相当する金銭を支払う必要があります。

また、組織再編行為の一環なので、剰余金分配可能額の範囲内という制限はありません(会社法812条)。

 

分割型の新設分割は固有のポイントに注意

これまで見てきたように、分割型の新設分割には、分社型にはない固有のポイントがあります。
実施される場合には、これらの固有のポイントを含めて慎重にご検討ください。
ご参考にしていただけますと幸いです。

 

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