会社に必要な全ての登記
専門家が迅速・的確に支援
                   
会社設立から本店移転、募集株式の発行(増資)やストックオプション、吸収合併、M&Aなど商業登記に精通する司法書士が強力にサポートします

特例有限会社と登記

特例有限会社の登記でお悩みではございませんか

平成18年に会社法が施行にともない、有限会社法が廃止され、有限会社は新しく設立することはできなくなりました。
ですが、当時存在していた有限会社は特例有限会社として現在も存続しています。

引き続き商号中に有限会社との文字を用いなければならないなど、特例有限会社は登記においても通常の株式会社とは異なる扱いがされている部分があります。
特例有限会社は、法令上は株式会社として存続するものとされていますから、基本的には株式会社の取り扱いに準拠しつつ異なるポイントを押さえておくことが大切です。

今回は、特例有限会社の登記について、通常の株式会社と異なるポイントを記載します。

特例有限会社は引き続き商号中に有限会社と記載されている

平成18年に施行された会社法改正にともない、有限会社法は廃止されました。
これに伴い、当時存在していた有限会社は特例有限会社として存続することになりました。

商号については、引き続き「有限会社●●」や「▲▲有限会社」といったように、有限会社との文字を用いることになります。

「有限会社●●」から「有限会社■■」といった商号変更をすることは可能です。
このような場合は、商号変更の登記をおこなうことになります。

※変更後の商号にも「有限会社」との文字を用いなければなりません。
通常の株式会社へ移行する商号変更については後述します。

特例有限会社は登記すべき事項が異なる

特例有限会社は、通常の株式会社と登記すべき事項が異なる部分があります。
次のような点が異なります。

・取締役の氏名だけでなく住所も登記される
・代表取締役は氏名だけ登記される
(ただし、会社を代表しない取締役があるときしか、代表取締役の氏名は登記されない)
・監査役も氏名だけでなく住所が登記される
・監査役設置会社である旨は登記事項ではない

特例有限会社の代表取締役の登記

特例有限会社の場合には、上記のとおり会社を代表しない取締役がある場合だけ代表取締役が登記事項になります(整備法43条1項)。
(株式会社の場合には、会社を代表しない取締役の有無にかかわらず代表取締役は登記事項になります。)

そのため、取締役が1名のみ(当然その取締役が代表取締役)の特例有限会社では、その1名が取締役としてだけ登記され、代表取締役についてはなにも登記されません。
会社を代表しない取締役がいないためです。
※このような場合、登記簿上は取締役としてしか登記されませんが、代表権はあります。

会社を代表する取締役と代表しない取締役がいたが、辞任などで代表しない取締役がいなくなった場合も、代表取締役が登記事項ではなくなります。

例えば、代表取締役A、取締役(代表しない取締役)Bという状態で、取締役Bが取締役を辞任する事になった場合には、代表取締役Aのみが役員として残ることになり会社を代表しない取締役がいなくなります。

会社を代表しない取締役がいなくなったため、代表取締役は登記事項ではなくなり、Aは、登記簿上は取締役としてのみ登記されることになります。

そして、代表取締役としてのAについて抹消する登記を取締役Bの辞任の登記と合せて申請する必要があります。
このような登記を代表取締役の氏名抹消の登記といいます。

「〇年〇月〇日取締役が1名となったため抹消」といった記載になります。
※日付はBの辞任日となります。

また、代表取締役A、取締役(代表しない取締役)Bという状態で、Bも代表取締役に選任すると、AもBも代表取締役ということになり、会社を代表しない取締役がいなくなります。
このような場合でも代表取締役の氏名抹消の登記を申請することになります。

このような場合は、「年月日会社を代表しない取締役の不存在により抹消」と記載することになります。
※日付はBを代表取締役に選任した日になります。

株式の譲渡制限の定めがあるものとみなされる

特例有限会社の定款には、次のような株式の譲渡制限の定めがあるものとみなされます(整備法9条)。
・株式を譲渡により取得することについて当該特例有限会社の承認を要する旨
・当該特例有限会社の株主が株式を譲渡により取得する場合には、当該特例有限会社が承認をしたものとみなす旨

これと異なる内容の定めをする定款変更はすることができません。
(譲渡承認機関を、株主総会以外の機関とする定款変更は可能であると解されています。)

特例有限会社では株主総会特別決議の要件が異なる

定款変更などの際に、株主総会特別決議が必要となりますが、特例有限会社では通常の株式会社と要件が異なるので注意が必要です。

特例有限会社の株主総会特別決議の要件は、「総株主の半数以上であって、当該株主の議決権の4分の3以上」にあたる多数が必要とされています(整備法14条3項)。
※総株主の半数以上とは頭数の半数以上になります。
頭数要件は定款で加重することができます。

特例有限会社では設置できない機関がある

特例有限会社は、取締役会、会計参与、監査役会、会計監査人、監査等委員会、指名委員会を置くことができません。
そのため、特例有限会社は大会社に該当しても会計監査人を置く必要がありません。

特例有限会社は決算公告の義務がない

特例有限会社は、貸借対照表の公告をすることを要しないとされています(整備法28条)。
そのため、吸収合併などの公告の際に、最終貸借対照表の開示状況に関する箇所には「計算書類の公告義務はありません。」といった記載をすることになります。
※なお、特例有限会社は消滅会社となる吸収合併はできますが、存続会社となる吸収合併をすることはできません。

役員の任期に上限がなくみなし解散に関する規定も適用されない

特例有限会社の取締役および監査役には任期の上限がありません。
そのため、定期的に任期満了の登記が発生しないこともあるため、休眠会社のみなし解散の規定が適用されません。
(通常の株式会社では、最長でも10年に1回任期満了の登記が発生するため、それを前提としてみなし解散の制度が設けられています。)

商号を変更して通常の株式会社に移行することができる

特例有限会社は、商号中に株式会社という文字を用いる定款変更をおこなうことで、通常の株式会社に移行することができます。
ただし、登記としては単に商号変更だけ行うのではなく、これまで見てきた通り特例有限会社と通常の株式会社では登記の取り扱いに違いがありますので、特例有限会社としての登記簿を閉鎖し、新たに通常の株式会社としての登記簿を新たに作成する登記手続きを行うことになります。

特例有限会社の登記は通常の株式会社との違いが大切

特例有限会社も、法令上は株式会社として存続しているとされているので、通常の株式会社との共通点も多いです。
しかし、これまで見てきた通り、大きく登記の取り扱いが違っているポイントもありますので、そのような点をしっかり確認していただくことが大切です。
ご参考にしていただけますと幸いです。

お電話でのお問い合わせ

「ホームページを見た」とお伝えください。

受付時間:9:00-18:00
メールでのお問い合わせ

    ページトップへ戻る