会社に必要な全ての登記
専門家が迅速・的確に支援
                   
会社設立から本店移転、募集株式の発行(増資)やストックオプション、吸収合併、M&Aなど商業登記に精通する司法書士が強力にサポートします

合同会社の社員の加入と退社の登記

合同会社の社員の加入と退社の登記についてお悩みではございませんか

合同会社の社員は、株式会社の株主と似ている点も多いですが、社員に関する事項は定款の記載事項であるなど取り扱いが異なる点も多いです。
これは、合同会社の内部の規律は民法上の組合に近い性質を持っているからになります。

そして、社員に関する事項が定款の記載事項なので、社員の加入などの際には定款を変更する必要が生じるなど手続き面でも株式会社とは異なる点が出てきます。

また、合同会社では業務執行社員と代表社員に関する事項が登記事項となりますので、新たに業務執行社員が加入した場合などは登記手続きも必要となりますが、登記に必要となる書類なども異なってきます。

今回は、合同会社の社員の加入と退社の登記手続きについて記載いたします。

合同会社では社員に関する事項を定款に記載する必要がある

合同会社の定款には社員の氏名又は名称及び住所などの社員に関する事項を記載しなければならないとされています(会社法576条1項4号、5号、6号)。

そのため、合同会社において社員が加入する場合には、原則として定款変更の手続きが必要になります。

これに対して、株式会社では株主や役員に関する事項は定款に記載が必要な事項とはされていません。
※設立時に発起人の氏名又は名称及び住所などは定款への記載が必要ですし、設立時役員を定款で定めるケースもありますが、設立後に株主や役員の氏名や住所を記載する必要はありません。

合同会社に対して社員が新たな出資を行って加入する場合の手続き

合同会社に新たに出資することで社員が加入する場合には、総社員の同意によって定款を変更することによって行います(会社法604条、会社法637条)。
※定款に別段の定めをすることで、定款変更の要件を変更することもできるとされています。

また、合同会社では新たに加入する社員は全額の出資の履行を行う必要があります。

新たに加入する社員が出資した額は、資本金または資本剰余金に計上されますが、株式会社のように最低2分の1を資本金に計上しなければならないという制約がないため、全額を資本剰余金に計上することも可能です。

新たに加入する社員が業務執行社員や代表社員となる場合には、その登記をします。
また、新たに加入する社員がした出資を資本金に計上する場合には資本金を増加する登記も必要となります。
※上記のとおり、全て資本剰余金に計上し、資本金は増加しないことも可能なので、その場合には資本金の増加の登記は発生しません。

既存の社員から持分を譲り受けて加入する場合の手続き

合同会社に社員が加入する場合において、既存の社員の持分の全部または一部を譲り受けて加入するという方法も良く行われます。

この場合には、既存の社員から持分を譲り受けるために持分譲渡契約を締結するほかに、やはり総社員の同意によって定款を変更する必要があります。
※業務を執行しない有限責任社員の持分の譲受による加入は、業務執行社員の全員の同意によって定款変更をすることもできるとされています(会社法585条2項、3項)。
これについて、定款で別段の定めをすることも可能です(会社法585条4項)。

持分を譲り受けて加入する場合には、既に出資が履行された持分を譲り受けるわけですから、新たな出資は行われません。

新たに加入する社員が業務執行社員や代表社員となる場合には、その登記を行います。
新たな出資が行われるわけではないので、資本金が増加する余地はなく、その登記も行われません。

相続または合併による持分の承継による加入

社員が死亡した場合や合併により消滅した場合には、定款に別段の定めがなければ法定退社事由のため退社することになりますが、相続人や存続会社といった一般承継人が持分を承継する旨を定款に定めることもできます。

このような定款の定めがある場合には、相続開始または合併の時に、相続人または存続会社が持分を定款の定めに基づいて承継して社員として加入します。

この場合も、既存の持分を承継するわけですから、出資の履行は要求されません。

新たに加入する社員が業務執行社員や代表社員となる場合には、その登記を行います。
また、相続が開始した社員または合併により消滅した社員について業務執行社員や代表社員として登記がされていれば、その死亡または合併の登記を行います。
新たな出資が行われるわけではないので、資本金が増加する余地はなく、その登記も行われません。

合同会社の社員の退社事由

合同会社の法定退社事由は次のとおりです(会社法607条1項)。
・定款で定めた事由の発生
・総社員の同意
・死亡
・合併(合併により当該法人である社員が消滅する場合に限る。)
・破産手続開始の決定
・解散(前2号に掲げる事由によるものを除く。)
・後見開始の審判を受けたこと
・除名

また、合同会社では次のような任意退社も定められています(会社法606条)。

・各社員は事業年度終了時の6か月前までに退社の予告をして、事業年度終了時に退社をすることができるとされています。
※合同会社の存続期間が、ある社員の終身の期間以外の一定期間で定められている場合を除く。

・やむを得ない事由があるときは、各社員はいつでも退社することができるとされています。

実際には、何らかの事情で退社が必要になった場合には、総社員の同意によって定款を変更して退社する方法が一般的によく行われます。

業務執行社員や代表社員が退社した場合には、その登記を行います。
退社に伴う払い戻しによって資本金が減少することもありますが、その場合には債権者保護手続きを行うことになりますので注意が必要です。
その場合には、資本金の減少の登記が必要となります。

また、持分の全てを譲渡して退社するというパターンも多いです。
この場合でも、持分譲渡契約を締結するほか総社員の同意などによって定款の変更の手続きを行います。

業務執行社員が持分の全てを新たに加入する社員に譲渡し、新たな業務執行社員が加入する場合には、加入の登記と退社の登記を行います。

合同会社における社員の地位の性質に注意が必要

合同会社の社員の地位は、株式会社の株主と役員の地位が合わさったものと似ており、加入に際して出資などが必要となります。
また、その出資持分とも常にセットになるため、すべてを一体的に考える必要があります。
このような株式会社にはない合同会社の社員の地位の性質を理解いただくことが大切です。
ご参考にしていただけますと幸いです。

お電話でのお問い合わせ

「ホームページを見た」とお伝えください。

受付時間:9:00-18:00
メールでのお問い合わせ

    ページトップへ戻る