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株式の分割と基準日

株式の分割に際しての基準日についてお悩みではございませんか

株式の分割は、株主に分割割合に応じて新たな株式を交付する制度で、株式の流動性を高めたい場合などに用いられます。
株式の分割を行う場合には、分割についての基準日を設ける必要があります。
そして、基準日を定めた場合には、原則として基準日に関する公告を行う必要があります。

今回は、株式の分割の手続きと基準日について記載します。

株式の分割の制度の概要

株式の分割とは、分割割合に応じて株主に対して新たな株式が交付される制度です。
たとえば、1株を3株の割合で株式の分割をすると、もともと10株を保有していた株主には新たに20株が交付され、株式の分割の効力発生後には30株を保有する株主になるということになります。

取締役会を設置している会社では取締役会で、取締役会を設置していない会社では株主総会で、それぞれ決議をすることによって株式の分割を行います。

株式の分割の効力は自己株式にも生じる

株式の分割の効力は自己株式にも生じます。そのため、自己株式がある場合には、株式の分割の効力発生によって自己株式もその数が増えることになります。

※なお、株式の無償割当ての場合には、自己株式には株式が割り当てられずその数は増えません。

種類株式発行会社では同一の種類の株式の数が増加する

種類株式発行会社においては、株式の分割によって交付される種類株式は、もともと保有していた種類株式になります。異なる種類の株式が交付されるような株式の分割を行うことはできません。

※なお、株式の無償割当ての場合には、異なる種類の株式を割り当てることも可能です。

種類株主総会が必要となる場合がある

種類株式発行会社において株式の分割を行う際には、原則として、その株式分割によって種類株主に損害を及ぼすおそれがある場合には、その種類株式の種類株主総会の特別決議が必要となります(会社法322条1項2号)。

たとえば、A種優先株式を分割することによって普通株式への剰余金の配当額が減少する場合や、普通株式を分割することによってA種優先株式の議決権割合が減少する場合などが考えられます。

この会社法322条に定める種類株主総会については、定款で不要とする旨を定めることができます(法322条2項)。
※なお、会社法322条に定める種類株主総会を不要とする定款の定めについては、登記事項とされています。

定款の定めによって種類株主総会を不要とした場合には、効力発生日の20日前までに、株主に対して通知または公告を行い、反対株主による株式買取請求の手続きを行うことが必要となります。

株式の分割を行う場合には基準日を定める必要がある

株式の分割を行う場合には、株式の分割の基準日を定める必要があります(会社法183条2項1号)。
そして、基準日を定めた場合には、(定款にその定めがないときは)基準日の2週間前までに、その基準日と基準日における株主が行使することができる権利について公告をしなければならないとされています(会社法124条3項)。

そのため、株式の分割を行う場合には、原則として基準日公告を行う必要性が生じることになります。

現実には株式の分割に関する基準日について定款に一時的に定めることで基準日公告を行わずに株式の分割をすることが多い

上記のように、会社が基準日を定めた場合には基準日について公告をしなければならないとされていますが、その基準日に関して定款に定められているときは公告が不要であるとされています(会社法124条3項ただし書き)。

基準日の公告には費用と時間がかかるため、実際には一時的に株式の分割の基準日に関する規定を定款に定める定款変更を行うことで、基準日に関する公告を行わずに株式の分割の手続きを行うことが多いです。

※株式の分割の効力が発生すれば不要となる一時的な規定のため、附則として設定し、株式の分割の効力発生日に自動的に削除される旨を併せて定めておくことが多いです。

※基準日公告を行う場合、基準日の2週間前までに公告をしなければならないとされていることとのバランスから、基準日に関する定款変更の決議も基準日の2週間前までに行うことが望ましいとされています。

ただし、株主の方の人数が多い場合や、上場申請の準備としての株式の分割の場合など利害関係人が多い場合には、万全を期すために定款変更による基準日公告を不要とせずに、あえて基準日公告を行う場合もあります。

定款変更を合わせて行うことで基準日公告を不要とするかどうかについても、会社の状況に応じてご検討ください。

株式の分割を行う場合には基準日公告についてご注意ください

このように、株式の分割を行う場合には必ず基準日を定めなければならず、基準日公告も原則として必要となるのですが、基準日公告に関する資料は登記の添付書面とはされておらず、この点が見逃されやすいです。
登記の添付書面とはならずとも会社法上必要な手続きを漏らすことのないようにご注意ください。
ご参考にしていただけますと幸いです。

 

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