会社に必要な全ての登記
専門家が迅速・的確に支援
                   
会社設立から本店移転、募集株式の発行(増資)やストックオプション、吸収合併、M&Aなど商業登記に精通する司法書士が強力にサポートします

押さえておきたい機関設計のルールのポイント

株式会社の機関設計のルールについてお悩みではございませんか。

株式会社では、定款で定めることで取締役会や監査役といった機関を設置することができます。
これらの機関について、どの機関を設置するかといった機関設計は原則として会社が自由に選択することができますが、一定のルールも存在します。
機関設計は会社の意思決定の方法や組織運営体制に影響を与える大切なポイントです。

今回は、押さえておきたい機関設計のルールのポイントについて記載いたします。

株主総会と取締役はすべての株式会社が設置しなければならない

すべての株式会社は、株主総会と取締役を設置しなければならないとされています(会社法326条1項)。
株主の総意を決定する株主総会と経営や業務執行を行う取締役の二つの機関は、株式会社の根本的な機関だからになります。

※もちろん、1人株主1人取締役(社長)というすべての決定権限をオーナー社長が持っているという会社形態も大会社ではない非公開会社においては可能ですし、そのような株式会社は非常に多くあります。
その場合でも、(構成員が社長1人だけの)株主総会と取締役を設置しているということになります。

選択的に設置できる機関は7種類

株式会社が選択的に設置できる機関は、次の7種類になります。

・取締役会
・監査役
・監査役会
・会計参与
・会計監査人
・指名委員会等
・監査等委員会

基本的には会社が選択的に設置することができますが、一定のルールがあります。

※指名委員会等設置会社と監査等委員会設置会社は、すこし珍しい機関設計の形態です。
迅速な意思決定による国際競争力向上や強い監督機能による企業統治などを実現するための機関設計で、かなり大規模な上場企業の一部などで採用されています。
企業全体をみると導入される例は少なく、指名委員会等設置会社または監査等委員会設置会社を選択すると機関設計は特有の形態になります。これらの指名委員会等設置会社または監査等委員会設置会社については、この記事でも触れてはいますが、そのような機関設計もあり、かなり大規模な会社において選択されることがほとんどであるという程度に理解しておけば、一般的な機関設計のルールのポイントを押さえるうえでは問題ございません。

機関設計の選択に影響を与える基準は2つある

機関設計の選択に影響を与える基準は2つあります。
「公開会社か、非公開会社(すべての株式に譲渡制限が付されている会社)か」という点と、「大会社(最終の貸借対照表に記載された資本金の額が5億円以上または負債の額が200億円以上の会社)か、大会社ではない会社か」という点になります。

非公開会社よりも公開会社の方が、大会社ではない会社よりも大会社の方が機関設計のルールが厳しくなります。
株式の譲渡に制限がなく不特定多数の方が株主となる公開会社や企業規模が大きい大会社の方が利害関係人も多く、より強い企業統治が求められるからになります。

非公開会社で大会社ではない会社では株主総会と取締役のみの機関設計も可能

非公開会社で大会社でない会社では、株主総会と取締役のみで、その他の機関は設置しないということも可能です。
取締役が代表取締役(社長)1人だけという会社も非常に多いです。

もちろん、任意に取締役会と監査役を設置するということも可能です。

公開会社は取締役会を設置しなければならない

公開会社においては取締役会を設置しなければならないとされています。
公開会社では、株式が自由に譲渡され株主構成が常に変動することになるため、株主が経営や監督を行うことは難しく、取締役が大きな経営の権限を持つことになるため、その取締役の合議体である取締役会を設置して慎重適正な経営を行えるようにするために設置が義務付けられています。

※公開会社のほかに、監査役会設置会社、監査等委員会設置会社、指名委員会等設置会社は取締役会を設置しなければならないとされています。

取締役会設置会社は原則として監査役を設置しなければならない

取締役会を設置した場合には、原則として監査役も設置しなければならないとされています。
これは、非公開会社で大会社でない会社が任意に取締役会を置いた場合も同様です。

例外は次のようなケースなのですが、かなり珍しいケースですので一般的には取締役会を設置したらほとんどの場合で監査役も設置が必要と認識していただいて問題ございません。

・非公開会社において会計参与を設置すれば取締役会を設置しても監査役を置かないことができます。
・指名委員会等設置会社または監査等委員会設置会社は監査役を置くことができません。

大会社は会計監査人を置かなければならない

大会社は会計監査人を置かなければならないとされています。
これは、大会社ほどの規模の大きい会社では、会計についての監査を受けて正確な会計処理を行うべきとされているためになります。

また、会計監査人を設置する場合には、監査役も置かなければなりません(指名委員会等設置会社または監査等委員会設置会社を除く)。

※指名委員会等設置会社または監査等委員会設置会社は、大会社でなくても会計監査人を置かなければならないとされています。

大会社かつ公開会社である会社は監査役会および会計監査人を置かなければならない

大会社かつ公開会社である会社は監査役会および会計監査人を置かなければならないとされています。
大会社で規模も大きく、公開会社で株主構成が不特定多数かつ流動的となり、最も利害関係人が多いことが見込まれますから、強い企業統治体制を築ける機関設計が求められるからになります。
(大会社かつ公開会社である会社は、指名委員会等設置会社または監査等委員会設置会社の形態を選択することも可能です。)

機関設計のルールはよく確認することが大切

機関設計については基本的には各会社がそれぞれ選択することができますが、一定のルールも存在します。
機関設計を変更する必要が生じた際や、株式会社を設立する際には、機関設計のルールをよくご確認ください。
ご参考にしていただけますと幸いです。

 

 

 

お電話でのお問い合わせ

「ホームページを見た」とお伝えください。

受付時間:9:00-18:00
メールでのお問い合わせ

    ページトップへ戻る