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拒否権付種類株式と種類株主総会

拒否権付種類株式(いわゆる黄金株)とその種類株主総会についてお困りではございませんか

拒否権付種類株式は、黄金株とも呼ばれ、通常の株主総会決議などの手続きに加えてその種類株式の種類株主総会決議を必要とする内容の種類株式です。

これによって、まさに拒否権のように種類株主総会で否決することができるようになるので、会社に大きな影響力を持つことができます。
黄金株との名称も、このような拒否権付種類株式の影響力の大きさからくるものです。

ベンチャー企業や閉鎖企業などにおいて、投資額の関係で大きな株式保有割合を持てない投資者に一定の権利を保障するために用いられることが多いです。

また、事業承継や相続対策などの場面で、支配株主が一定数の株式を譲渡した後も会社への影響力を保ちたい場合などに用いられることも多いです。

今回は、黄金株と呼ばれる拒否権条項付き株式と種類株主総会について記載いたします。

株主総会または取締役会において決議すべき事項について種類株主総会の決議が必要とすることができる

拒否権付種類株式の「拒否権」は、株主総会または取締役会において決議すべき事項が対象となります(会社法108条1項8号)。
※清算人会設置会社において清算人会において決議するべき事項を対象とすることも可能です。清算手続きに入った株式会社については本稿では考慮せずに記載いたします。

この拒否権付種類株式の対象となる事項については、「株主総会で決議すべき事項の全て」とすることもできますし、例えば「定款の変更」といったように具体的に限定することも可能です。
取締役会設置会社において取締役会の決議事項である、「代表取締役の選定および解職」といった事項も拒否権の対象とすることが可能です。

拒否権付種類株式のみで手続きを行えるわけではない

例えば、定款変更について拒否権の対象と定めた場合には、その株式会社では原則として必要になる株主総会決議に加えて、拒否権付種類株式の株主による種類株主総会の決議も必要となります。

なお、この場合に必要となる拒否権付種類株式の種類株主総会決議は、普通決議になります。

種類株主総会の普通決議の要件は、「総株主の議決権の過半数を有する株主が出席し、出席した株主の議決権の過半数」になります(会社法323条1項)。

定足数の算定のベースが、総株主となっている点にご注意ください。

このように原則として求められる株主総会決議や取締役会決議も必要となりますので、拒否権付種類株式のみで決議できるようになるわけではないので、注意が必要です。

種類株主総会の決議を得るために別途招集の手続きは必要となる

種類株主総会を開催するためには、全体の株主総会とは別に、種類株主総会を開催する必要のある種類株主に対して招集通知を発送する必要があります。

開催の時間や場所についても、全体の株主総会や複数の種類株主総会を同一の時間場所で開催する方が手間は省けますが、このような開催の方法については学説の見解も分かれており、それぞれ別々の時間場所を設定いただくことをオススメしています。

※種類株主総会には、会社法300条の招集手続きの省略の規定は準用されておりますので、拒否権付種類株式を保有する株主の方の人数が少ない場合には、この規定を活用いただくことも可能です(会社法325条)。

複数の種類株主が共同して決議する拒否権付種類株式を設定することも可能

拒否権付種類株式の拒否権について、2つ以上の複数の種類株式の種類株主が、1つの種類株主総会で共同して決議すると定めることも可能であるとされています。

そのため、例えば「定款の変更については、株主総会の決議のほか、A種類株主およびB種類株主を構成員とする合同の種類株主総会の決議があることを必要とする。」といった規定を定めることも可能ということになります。

ベンチャー企業や合弁企業において、複数の種類株式に拒否権を付与する場合、別々にそれぞれの種類株主総会の決議が必要であるとすると、どれか1つの種類株主総会で否決されてしまうと効力を生じないことになってしまいます。

このように、拒否権の対象となっている事項に関して、何も決められないという事態に陥ってしまうこともあり得ます。
拒否権について合同の種類株主総会決議を要するとしていただくことで、何も決められないという事態を起こりにくくすることができます。

共同の決議とするのかどうかによって、それぞれの種類株主の拒否権の影響力は異なることとなりますので、状況に応じてよくご検討いただくことが大切です。

複数の種類株主が共同して決議する拒否権付種類株式を設定した場合には登記の添付書面も共同のものを作成する

拒否権付種類株式の拒否権について、2つ以上の複数の種類株式の種類株主が、1つの種類株主総会で共同して決議すると定めた場合には、登記に添付する種類株主議事録や株主リストも共同のものを作成する必要があります。

少し名前はながくなりますが、先ほどの例では「A種類株式B種類株式合同種類株主総会議事録」といった要領の共同の議事録を作成し、A種類株主とB種類株主を共同で記載した株主リストを作成することになります。

拒否権付種類株式の導入に際してはよくご検討いただくことが大切

拒否権付種類株式を保有する株主は、会社に対して大きな影響力を持つことになります。
そのため、拒否権の対象となる事項や複数の種類株式に拒否権を付与する場合には共同の種類株主総会とするかどうか、といったポイントをよくご検討いただくことが大切です。
ご参考にしていただけますと幸いです。

 

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