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自己株式の取得(会社法156条~159条に定める会社と株主の合意による自己株式の取得)

自己株式の取得の方法についてお悩みではございませんか

自己株式の取得は、会社の資本効率を高める財務戦略上の観点や株主還元策の一環として実施されるケースが多くございます。

自己株式の取得をご検討されている会社も多いかと存じますが、会社法では自己株式の取得について制限をかけてその方法について法定しているので、自己株式の取得を実施するためには法定されている手続きを行う必要があります。

今回は、実施されることは多い会社法156条~159条に定める会社と株主の合意による自己株式の取得について記載します。

会社法では自己株式を取得できる場合を制限している

資本効率を高める財務戦略上の観点や株主還元策の一環として自己株式の取得をご検討される会社は数多くございます。

ですが、会社法では自己株式の取得について制限をかけて、会社法155条に掲げる場合に限り自己株式の取得を認めるという形を取っています。

これは、自己株式の取得については実質的に出資の払戻しと同様の結果を生じ会社債権者を害する恐れがある、株主相互間の公平を害するおそれがある等の弊害を生ずるおそれがあるなどの理由によるものです

ですので、例えば単に株主と会社とで株式を売買する契約を締結したとしても自己株式を取得することはできないので注意が必要です。

利用されることの多い会社法156条~159条に定める会社と株主の合意による自己株式の取得

今回は自己株式取得の方法のうち、会社法156条~159条に定める会社と株主との合意による自己株式の取得の手続が会社の財務戦略や株主還元策として利用されることの多いです。

会社法156条~159条に定める株主との合意による自己株式の取得の方法は、株主総会において一定の事項を定め、その範囲内ですべての株主(種類株式発行会社の場合は、取得する株式の種類のすべての種類株主)に対して通知(または公告)を行い、申込みのあった株主から株式を取得するという方法になります。

すべての株主に売却の機会を与えることから、「ミニ公開買付け」と呼ばれています。

会社法156条~159条に定める会社と株主の合意による自己株式の取得の進め方

会社法156条~159条に定める株主との合意による自己株式の取得の手続は具体的には次のように進めます。

①株主総会の普通決議
株主総会の普通決議によって次の事項を定めます(会社法156条)。
・取得する株式の数
(種類株式発行会社にあっては、株式の種類及び種類ごとの数)
・株式を取得するのと引換えに交付する金銭等の内容およびその総額
・株式を取得することができる期間(1年を超えることはできない)

※剰余金の配当等を取締役会が決定する旨の定款の定めがある会社(会計監査人設置会社で取締役の任期が1年を越えない監査役会設置会社、監査等委員会設置会社(監査等委員である取締役以外の取締役の任期が1年を越えないもの)または指名委員会等設置会社)では、定款で定めることで取締役会決議によることができます(会社法459条1項1号)。

②取締役会決議
株主総会の決議に基づき実際に自己株式を取得しようとするときは、そのつど取締役会決議によって以下の事項を定めます(会社法157条)。
・取得する株式の数
(種類株式発行会社にあっては株式の種類および数)
・株式1株を取得するのと引換えに交付する金銭等の内容および数もしくは額またはこれらの算定方法
・株式を取得するのと引換えに交付する金銭等の総額
・株式の譲渡しの申込みの期日

※取締役会非設置会社においては、会社法348条1項、2項の業務執行行為の一種として取締役の決定で決議できるとする説と、剰余金の配当等に関する規定の仕方から株主総会で決議すべきであるとする説があります。

③株主に対する通知又は公告
すべての株主に対して②で決議した事項(会社法157条1項各号に掲げる事項)を通知します(会社法158条1項)。
※公開会社においては、公告をもってこれに代えることができます(会社法158条2
項)。
(種類株式発行会社の場合は、取得する種類株式のすべての種類株主に対してのみ通知を行えば足ります。)

④株主からの申込
株式の譲渡しを希望する株主は、会社に対して譲渡したい株式数(種類株式発行会社の場合は株式の種類及び数)を明らかにして申込をします(会社法159条1項)。
申込の方法は法定されていないので、電話等でも効力を有することになりますが、事務処理上、申込書のフォーマットを用意されるのが良いでしょう。

申込みがされた株式の譲受は、②の取締役会決議で定めた申込みの期日に自動的に会社が承諾したものとみなされて、売買が成立します(会社法159条2項)。
代金の支払時期などは法定されていないので、遅滞なく支払えば問題ございません。

取締役会決議で定めた取得する株式の数(取得総数)を越えて申し込みがされた場合

取締役会決議で定めた取得する株式の数(取得総数)を申込みされた株式の総数(申込総数)が上回る場合は、次のように計算して比例按分の方法で各株主から取得する株式の数を計算します(会社法159条2項ただし書)。

取得総数 ÷ 申込総数 × 株主が申し込みをした株式数 = 当該株主から取得する株式数

(1未満の端数がある場合は、切り捨てます。)

会社法156条~159条に定める会社と株主の合意による自己株式の取得は財源規制がかかる

会社法156条~159条に定める会社と株主の合意による自己株式の取得には、財源規制が掛かります。
効力発生日時点での分配可能額を越えて取得することはできませんので注意が必要になります(会社法461条)。

自己株式の取得の実施には会社法所定の手続きを実施ください

このように自己株式の取得には会社法所定の手順を行う必要があります。
自己株式取得をご検討の方は、ご参考にしていただけますと幸いです。

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