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株主総会の決議を省略した場合の株主総会議事録と押印

株主総会決議を省略した場合の株主総会議事録や押印についてお悩みではございませんか

実際に株主総会を開催しなくとも、取締役または株主が提案をして議決権を行使することができる株主の全員が書面(または電磁的記録)によって同意した場合には株主総会決議があったものとみなすことができます(会社法319条1項)。

いわゆる、株主総会決議の省略や書面決議といわれている方法です。
議決権を行使することができる株主の全員の同意が必要ですが、この方法を用いることで現実に時間と場所を確保することなく、また、招集手続きを経ることなく、実際に株主総会を開催して決議をしたものと同じ効力となります。

それでは、このような株主総会決議を省略した場合の議事録や押印はどのようになるのでしょうか。

実際に株主総会を開催しているわけではないので、日時や場所はありませんし、議長や出席取締役もありません。

今回は、決議を省略した場合の議事録について記載いたします。

株主総会の決議を省略した場合でも株主総会議事録は作成する必要がある

議決権を行使することができる株主の全員が書面(または電磁的記録)により同意することにより株主総会決議があったものとみなされた場合でも、そのことを記載した議事録を作成する必要があります。

株主総会議事録を作成するとしても実際に株主総会を開催しているわけではないので、時間や場所というものはありませんし、議長や出席取締役もありません。

株主総会決議を省略した場合には、どのような事項を記載すればいいのでしょうか。

株主総会決議を省略した場合には、具体的には次のような事項を記載する必要があります(会社法施行規則72条4項1号)。
・決議があったものとみなされた事項の内容
・提案をした者の氏名または名称
・決議があったものとみなされた日
・議事録の作成にかかる職務を行った取締役の氏名

株主総会決議を省略した場合もその議事録は、実際に株主総会を開催いただいた場合と同じく取締役が作成するものとされています。

会社法には株主総会議事録への押印に関する規定はない

会社法には株主総会議事録への押印に関する規定はなく、株主総会決議を省略した場合も会社法上は議事録への押印を求める規定はありません。

実際には、定款で株主総会議事録への押印を定めている場合も多く、その場合は定款の定めに従うことになります。
定款に押印についての定めがなかったとしても、議事録が原本であることを明確にする意味でも押印いただくことをオススメしています。
押印いただく場合には、議事録作成者が押印することになります。

登記手続きのために押印が必要となる場合もある

会社法においては株主総会決議を省略した場合の株主総会議事録への押印を求める規定はありませんが、登記手続きのために押印が必要となる場合もあります。

その省略された株主総会決議で代表取締役を定めた場合です。

実際に株主総会を開催いただいて代表取締役を定めた場合も、登記手続きのために押印が必要となっていましたが、こちらが株主総会を省略した場合の株主総会議事録にも類推して適用される運用となっています(商業登記規則61条6項)。

株主総会で代表取締役を定めた場合には、登記申請のために変更前の代表取締役が届出印(会社実印)を押印するか、議長及び出席取締役の全員が個人実印を押印することになります。
(議長及び出席取締役の全員が個人実印を押印した場合には、個人印鑑証明書も必要となります。)

代表取締役が重任する場合などは、株主総会決議を省略した場合でも変更前の代表取締役が議事録作成者として届出印(会社実印)を押印すれば登記手続き可能です。

代表取締役が届出印(会社実印)を押印できない場合は、議長及び出席取締役の全員の個人実印の押印はどのように取り扱えばいいのでしょうか。

株主総会決議を省略して実際に開催したわけではないので、議長や出席取締役に該当するものがいなくなってしまいます。

このような、株主総会決議を省略した場合で代表取締役が届出印(会社実印)を押印できない場合には、議事録作成者を議長に相当するものであると考え、議事録作成者の個人実印を押印することになります。
(その場合には、個人実印を押印した議事録作成者の個人印鑑証明書も必要となります。)

株主総会決議を省略した場合も議事録の作成を忘れずに

このように議決権を行使することができる株主全員の書面(または電磁的記録)により同意することで、株主総会決議があったものとみなした場合でも議事録の作成は必要です。
さらに登記手続きのために会社実印や個人実印の押印が必要となる場合もございます。
株主全員の同意を集めることができれば招集手続きなどを経ずに迅速に株主総会決議があったものとみなすことができるため非常に便利な手続きですが、株主総会議事録の作成や押印にもご注意ください。
ご参考にしていただけますと幸いです。

 

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