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株主総会の決議要件

株主総会の決議の要件についてお困りではございませんか

株主総会の決議が有効に成立するためには、どの程度の株主が出席して賛成すればいいのでしょうか
株主の方が議案に反対するケースはそれほど多くないですが、出席する株主の方が有効に決議を行うのに足りているかどうかは注意が必要です。
また、株主総会での決議の要件は議案の内容によっても違います。

今回は、株主総会の決議の要件について記載します。

基本パターンである普通決議

株主総会決議の基本パターンは普通決議と呼ばれます(会社法309条1項)。
普通決議の決議要件は、「議決権を行使することができる株主の議決権の過半数を有する株主が出席し、出席した株主の議決権の過半数の賛成」になります。

法令や定款に特に定めが無ければ、株主総会の決議はこの普通決議で行うことになります。

定足数は定款で排除することができる

株主総会の普通決議の要件は、「議決権を行使することができる株主の議決権の過半数を有する株主が出席し、出席した株主の議決権の過半数の賛成」でした。

この「議決権を行使することができる株主の議決権の過半数を有する株主が出席し」という出席する株主の最低数は定足数と呼ばれます。

普通決議の場合は、後述の特別な普通決議の場合を除き、定款に定めることで定足数を自由に引き下げることができます。

そのため、普通決議については、法定の定足数の要件をはずして、「出席した株主の議決権の過半数」の賛成で決議が成立すると、定款に定めている会社が多いです。

定足数を完全に排除できない特別な普通決議

普通決議において、一定の議案については定足数を完全に排除することができないとされているものがあります。
それは役員の選任と解任の決議になります(会社法341条)。
(解任の要件が特別決議とされている、監査役、監査委員である取締役、累積投票によって選任された取締役の解任は除きます。)

※ちなみに、役員に会計監査人は含まれないので、会計監査人の選任または解任の議案については定足数を完全に排除することも可能です。

上記の役員の選任と解任の決議は、原則は普通決議と同じ「議決権を行使することができる株主の議決権の過半数を有する株主が出席し、出席した株主の議決権の過半数の賛成」が決議要件です。

定足数を定款で引き下げることもできますが、議決権を行使することができる株主の議決権の3分の1までしか引き下げることはできません。

これを特別な普通決議と呼ぶこともあります。

これは、役員の地位は重要なものであるから、その選任や解任にはできるだけ多数の株主の意思が反映されるようにという趣旨から定められたものです。

重要な事項を決定する際には特別決議が必要

定款の変更や合併、会社分割といった組織再編行為など、株主の地位に重要な影響のある事項や一部の株主だけが利益を受けることが起こりやすい事項については、重い決議要件を求めています。

特別決議と呼ばれる決議要件で、「議決権を行使することができる株主の議決権の過半数を有する株主が出席し、出席した株主の議決権の3分の2以上の賛成」が必要となります(会社法309条2項)。

定足数を定款に定めることで引き下げることも可能ですが、議決権を行使することができる株主の議決権の3分の1までしか引き下げることはできません。
これも、重要な決議事項についてはできるだけ多くの株主の意思が反映されるようにするために定められたものです。

特別決議が要求される主な事項には次のようなものがあります。
・定款変更(商号、目的、本店所在地の変更などの通常の変更 会社法466条)
・非公開会社における募集株式の発行の募集事項の決定(会社法199条2項)
・全部取得条項付き種類株式の取得(会社法171条1項)
・株式の併合
・非公開会社における募集新株予約権の発行の募集事項の決定(会社法238条2項)
・監査役の解任(会社法339条)
・累積投票により選任された取締役または監査委員である取締役の解任(会社法339条)
・解散(会社法471条3号)
・合併、会社分割、株式交換、株式移転または株式交付
・自己株式を特定の株主から取得する旨の決定(会社法160条1項)
・役員等の責任の一部免除(会社法425条1項)

このように、特別決議が必要となる事項には、登記が必要となる事項も多く含まれています。
登記事項となる事項は、重要性が高い事項が多いからになります。

※ちなみに、特例有限会社の場合の特別決議の成立要件は、「総株主の半数以上が出席し、総株主の議決権の4分の3以上の賛成」が必要となります。

さらに重い要件が求められる特殊決議

ケースとしては多くないですが、特別決議よりもさらに重い要件が求められる特殊決議と呼ばれる決議要件もあります。
この特殊決議には次の2種類があります。

一つ目は、株式が定款変更によって譲渡制限株式に変更されるといった株式の譲渡が制限されることとなる場合です。
この場合は「議決権を行使することができる株主の半数以上で、かつ議決権を行使することができる株主の議決権の3分の2以上の賛成」が必要となります(会社法309条3項)。
※ここでは、「議決権を行使することができる株主の半数以上」という要件があるので、保有する議決権数にかかわらず、株主の頭数の半数以上の方の賛成が必要となる点に注意が必要です。

これは、株式の譲渡が制限されることとなり、各株主に対して大きな影響を与えることから重い要件が求められています。

二つ目は、非公開会社において、剰余金の配当、残余財産の分配、株主総会での議決権について株主ごとに異なる取り扱いを行う旨の定款変更を行う場合です。
いわゆる属人株の定めを設定したり変更したりする場合になります。
この場合には、「総株主の半数以上で、総株主の議決権の4分の3以上の賛成」が必要となります(会社法309条4項)
※ここでは、「総株主の半数以上」という要件があるので、保有する議決権数にかかわらず、株主の頭数の半数以上の方の賛成が必要となる点に注意が必要です。

特殊決議が求められるケースはそれほど多くはないですが、このような重い要件が求められる場合もあるので注意が必要です。

株主総会の決議の際にはその要件にご注意ください

株主総会の決議を行う必要が生じた際には、株主のうちどのくらいの方が出席していれば有効な決議が可能なのか、どのくらいの賛成が必要なのかといった決議要件を確認しておく必要があります。
特に、定款において決議要件に一定の変更がされている場合も多いですので、必ず定款もご確認ください。
ご参考にしていただけますと幸いです。

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